ケーススタディ

ビジネスモデル「リテールテイメント」とは?

RetailTainment(リテールテイメント)は、Retail(小売)+Entertainment(エンターテイメント・娯楽)を掛け合わせた造語です。

実店舗で小売とエンターテインメントを融合させ、商品を手に取って試してもらうだけではなく、さまざまな娯楽を提供する形態のことです。顧客体験を向上させ、購買意欲の喚起やLTV(※1)の最大化など、さまざまな効果が期待できます。
実店舗の強みを生かし、ネット通販やEC店舗に太刀打ちする手法としても注目されています。

※1 LTV (Life Time Value)=カスタマーライフタイムバリュー(顧客生涯価値)を意味し、顧客が会社や企業にもたらした価値(=売上)の累計を表す。

リテールテイメントのメリット・デメリット

メリット

  1. 顧客体験を向上させ、売上の増加が期待できる
  2. 顧客との情緒的なつながりから、ファンの獲得やリピート率が向上される
  3. 店舗の滞在時間が向上し購買欲を高められ、購買率客単価の増加につながる
  4. 顧客のSNS投稿により自然拡散を促せる

デメリット

  1. コストがかかる
  2. 運用の計画・実行・結果・改善のサイクルに時間がかかる

メリットは、ユニークな顧客体験の提供により満足度が上がり、売上の増加が期待できることです。また顧客と情緒的な関係を築けることで、新たな顧客の確保やリピート率の向上、話題性を持つイベント効果で、SNSの自然拡散にもつながります。

デメリットとしては、運用のサイクルに時間を要することや費用面などが挙げられます。ただ、ミレニアル世代(20~38歳)をはじめとする若い層は、より情緒的価値・個々の幸福感や価値観を重視する志向に変化しています。日本でもこの世代が全人口の約22.3%(※2)を占めると言われており、ターゲットユーザー層としては無視できないといわれています。

※2 参照:小売領域:リテールテイメントとショールーミング|https://archetype.co.jp/trend-retailtainment-showrooming/

小売業ができる「リテールテイメント」とは?

小売業ができるリテールテイメントにはどのようなモデルがあるでしょうか? リテールテイメントを活用して売上を伸ばした企業の事例をご紹介します。

【成功事例】

店内でサッカー? 「adidas」の最新体験型ストア

ニューヨークの5番街にあり、アパレル・スポーツ用品ブランドadidasがビル1棟を占める、世界最大級の旗艦店(フラッグシップストア)。

ここでは、実際にスパイクの履き心地などを体験でき、ドリンク販売、テレビでスポーツ観戦ができるスタジアムのようなスペース、最上階にはテニス・サッカーコートなどがあり、スポーツ愛好家以外からも人気を集めています。

ブランドそのものを体感できるショールーム空間として話題性を生み、口コミ・レビュー投稿を自然拡散させるマーケティング戦略として成功しています。

参照:アディダス(ニューヨーク旗艦店)|体験型施設が充実のフラッグショップ
https://www.tour.ne.jp/w_review/NYC/shopping/spot/1324743/

“親子体験できるカンパニー”がコンセプト「CAMP」

ニューヨークの玩具・キッズ用品店は、子供と大人が一緒に楽しめる店づくりに取り組んでいます。店内の「マジックドア」と呼ばれる隠し扉の奥にイベントスペースを設置し、工作やゲーム、マジックショーなどを家族で楽しめるようにしています。

商品の購入に加え体験を求めて来店する家族も多く、イベントのチケット販売がメーカーの新たな収入源になっているとのことです。

参照:HatenaBIog-#223 【NYギフト店紹介】大人も子どもも楽しめるおもちゃ屋さん『Camp』に潜入!|https://www.okayu-gift.com/entry/2020/12/30/134851

人数限定、お泊りイベントで「IKEA」の寝具を体験

世界最大の家具・インテリア小売店であるイケア。各国の店舗で、抽選イベントとして営業終了後の店内のショールームで「パジャマパーティー」を開催し、売り場に展示されているベッド、マットレス、シーツ、枕などを使ってIKEAに宿泊するサービスを提供しました。

また、軽食やマッサージ、ヨガ、瞑想、ベッドの選び方セミナーなど、イケアの商品と世界観を体験できる特別なアクティビティを多数用意し、「ここでしかできない」パーソナルな体験は、お客様のロイヤルティやファン化を促進させました。


参照:イケア・ジャパン (IKEA Japan)|https://www.facebook.com/IKEA.jp/posts/723177854417685

5秒で採寸! 「ワコール」オリジナル3Dスキャンで、最適な下着選びを

ワコールは、女性用下着の販売を主力とする日本のアパレルメーカーです。2019年5月、セルフサービスでの採寸、商品検索、試着、購入ができる体験型店舗「Wacoal 3D smart&try」の展開を開始しました。

ワコール独自の約5秒で採寸できる3Dボディスキャナーと接客用AIにより、顧客一人ひとりのボディサイズや体重、悩み、好みのデザインやシルエットなどに応じて最適なインナーを提案。販売員に採寸してもらうのが恥ずかしい場合でも、自分で採寸し、AIが自分にぴったりのサイズの下着を見つけてくれることが女性から好評を得ました。

採寸後はデータ、おすすめ商品のQRコード、カウンセリング情報などが記載されたパーソナライズシートが発行され、体系の変化を客観的に確認できます。また、2023年5月16日からはスマートフォンでいつでも過去の採寸データを参照できるサービスを展開しています。

幻想的な空間で生き物を捕まえる「ギャラクシーxチームラボ」

何度訪れても新しい発見に出会える体験型施設として、4周年を迎える「ギャラクシー原宿」。

韓国の電子機器メーカーSamsung(サムスン)が手掛けるGalaxyブランドとTeamLabのコラボにより実現した、Galaxyのスマートフォンを使って学習体験ができる空間を提供しています。

展示テーマ「捕まえて集める不思議な森」「捕まえて集める恵みの海 」は、捕まえて、観察して、解き放つというコンセプトのもと、訪れた顧客が新作のGalaxyスマートフォンを持ち、壁や床に映し出された3Dの映像から生き物を探索し、捕まえ、自分だけのコレクションから興味を広げていくという新しい学習プロジェクトでした。出口ではGalaxyオフィシャルツイッターアカウントとつながり、訪れた人はその日の体験を投稿しました。

SNS拡散による新商品のPR効果と、顧客データ収集によるEC上でのコネクションの増加を最大化する戦略に成功しました。

※2023年8月現在公開中のイベント「捕まえて集める恐竜の森」の様子(GRoooVE メンバーによる撮影)

その他、様々なブランド・企業がリテールテイメントを採用しています。
例:Starbucks Coffee(スターバックスコーヒー)、Alpen(アルペン)、L’OCCITANE(ロクシタン)、CHANEL(シャネル)、Amazon(アマゾン)、SnowPeak(スノーピーク)、House of Sport(ハウスオブスポーツ)等

AIカメラで店舗施策の効果検証を行う

店舗にAIセンサーを設置することでリテールテイメント施策の集客効果を検証することができます。

1. 店前通行量・入店率の計測

イベント期間中の客数入店率の推移をダッシュボードで簡単に確認できます。

店舗に立ち寄る人の数が多くなれば、結果として売上につながる可能性が高くなります。また実際に入店した人の割合が高いほど、多くの潜在顧客をより来店客に変えることができたとみなします。

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2. 購買率・平均客単価

AIセンサーからのデータとPOSデータをあわせて取得し、来店客の何%が商品購入に至ったかを可視化します。(購買率=購買者数/入店人数)

また、一般的に使われる「購入者ベースの平均客単価」(総売上高÷購入者数)に加え、「来店客ベースの平均客単価」(総売上高÷入店客数)を算出します。

2つの客単価の比較は店舗全体の業績評価にも活用しやすく、最もシンプルで明確な判断材料といえます。

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3. 各エリアの平均滞在時間と滞在回数

イベントエリアやそれ以外のエリアに対して、どれだけの人が立ち止まったかを調査し、「商品やイベントへの関心度」の調査ができます。エリアの通過人数に対し滞在回数の比率が高いほど、顧客の興味度が高いとみなされます。

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4. 顧客の属性

顧客の属性(男女の性別、年齢)を参照できます。
データから顧客の嗜好に関する貴重な知見や今後の商品開発のヒントなどを得られます。

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まとめ

インターネットやAIの普及に伴い、消費者の購買行動は日々変化しています。

メーカーやD2Cブランド、小売業は、新たな顧客の購買行動を活用し、実店舗でのリテールテイメント戦略を進めることで、顧客体験の向上による売上・LTVの向上が期待できます。

当社が提供しているAIカメラを用いた店舗計測ツールは、オフラインとオンラインを横断した効果的な店舗分析を可能にします。ご興味がおありの企業様は、是非ご相談ください。


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