本稿では、2023年の小売ビジネスのトレンドを振り返り、2024年における今後の市場の傾向や期待について見解を述べていきます。
そして小売ビジネスの成功に必須となる、「店舗計測ツールを用いた店舗運営改善法」についても解説します。
2023年の経済動向と今後の期待
2023年を振り返ると、昨年に引き続き、コロナ明けと円安の進行の影響で、インバウンド需要が大きく上昇しました。
特に、訪日外国人旅行者数の増加と旅行単価の上昇が、日本経済に大きな影響を与えました。観光庁が発表した2023年4~6月期の訪日外国人消費動向調査によると、訪日客の旅行消費額は1兆2,052億円で、新型コロナウイルス蔓延前の2019年同期比で95.1%(※)も回復しました。
※参照 NRI|コラム 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight|順調に回復するインバウンド需要:2023年推計値は5.9兆円とコロナ前超え(6月訪日外国人数)
一般的になった小売トレンドとは?
デジタル化の進展と消費者行動の変化が相まり、国内外の小売業を含む様々な業種で、日々新たなトレンドが生まれています。
2024年もこういった消費者動向に合わせた新たな販売チャネルの開拓やマーケティング施策・戦略を構築することで、より大きな企業の成長につながると予想されます。
小売業のトレンドの代表例
オンラインとオフラインの融合、パーソナライズされた顧客体験、持続可能なビジネスモデルなどが挙げられます。また、新型コロナウイルスの影響で加速した非接触型のショッピング体験も、引き続き注目されるでしょう。
さらに、IT技術の進歩に伴い、AIやビッグデータを活用した、データ駆動の店舗運営や経営戦略が、小売店の業績に寄与していくと言われています。
1.オンラインとオフラインの融合
オンラインとオフラインの融合は、消費者が物理的な店舗とデジタルの両方を利用するオムニチャネルのショッピング体験を求める傾向に対応するための重要な戦略です。
消費者は商品をオンラインで注文し、店舗で受け取るといった方法を好む傾向にあり、これは「BOPIS(Buy Online, Pick-up In Store)」と呼ばれています。
この方法は、便利さと効率性を提供し、顧客満足度を高めることができます。
2.パーソナライズされた顧客体験
お客様一人ひとりに寄り添ったカスタマーサービスを提供し、顧客満足度やロイヤルティ、商品やサービスの価値を高めることで、リピーター顧客を増加させます。
また、昨今の店舗データ計測ツールの普及により、店舗における顧客の購買行動を数値化し、接客分析や戦略構築などがしやすくなりました。
3.持続可能なビジネスモデルへのシフト
エシカルな消費がトレンドとなる中、環境に配慮した製品やブランド展開など、持続可能性を追求していくことで、企業への信頼度や評判が向上し、顧客の支持を集めやすくなる傾向があります。
4.利便性の追求
最近では、アプリを使った会計システムで自動決済を行う「Amazon Go」のサービスや、ファミリーマートなどコンビニエンスストアの無人決済店舗、さらに、商品を持って入口のゲートを抜けると自動的に決済が完了する、「レジなし」スーパーが横浜に開店するなど、利便さを追及する動きが増えました。
行列や混雑を避け、ストレスフリーな顧客体験が満足度の向上につながるだけでなく、レジスタッフの人件費削減や、店舗で得た顧客データを次のマーケティング戦略に活用できるなど、企業側の視点からも注目されています。

スマホで商品コードを読み取りお会計。イギリスなど海外の大型スーパーで積極的に取り入れられています。
上記のようなトレンドが今後どのように変化し売上に影響を及ぼすのかを注視しながら、新たな購買傾向をもとに様々なアイデアを小売ビジネスに取り入れることが重要です。
店舗計測ツールを活用し、小売店舗の運営を効率化させる
店舗計測の方法
小売業の成長を最大化する方法のひとつが、AIセンサーを用いた店舗計測ツールの導入です。
具体的には、来店客数の推移や増減予測、購買パターン、店内滞在時間などを取得し、レイアウトやスタッフ配置における課題点を発見して業務改善につなげたり、顧客の商品への興味度を測り、効果的なマーケティング戦略を実施することができます。
店舗計測で見るべき指標例
ここでは、私たちが企業様に提供している、主要な店舗計測データをいくつかご紹介します。
- 入店人数と入店率:来店客数や入店率は店舗の人気度を示し、マーケティング努力の有効性を判断したり、店舗経営が好調かどうかを判断するための重要指標です。
- 平均滞在時間:顧客が店内でどのくらいの時間を過ごしたかを示します。商品やサービスの魅力度や店舗レイアウトの改善効果などを評価するのに役立ちます。※AIセンサーを複数つないで計測します
- リピーター率:顧客が再び店舗に訪れる確率を示します。リピート(再来店)の多さは、顧客満足度やロイヤルティの高さを計る指標となり、売上の安定化にも寄与します。
- 購買率:入店した客のうち、実際に商品を手に取り購入する確率を示します。スタッフ配置の最適化や接客パフォーマンスの判定基準に活用したり、商品の選定や価格、VMDの効果などを測る際にも使われます。※AIセンサーとPOSレジのデータを連携させます

スタッフと客をわけた入退店数(トラフィックイン・アウト)、店内の各エリアにおける滞在回数、時間、接客数などを抽出

AIカメラによる入店人数カウント
指標の活用例① 入店人数計測x購買率の取得で売上向上を目指す
来店客の多い時間帯や曜日、特定の時間帯に特定の商品が売れる傾向などをデータで算出することで、在庫管理を最適化し、在庫不足による購買機会の損失を防ぎ、売上の最大化を図ることができます。
また、入店人数予測に基づくスタッフ配置の最適化は、接客漏れによる機会損失を防ぐ効果があり、購買率や客単価、顧客体験の向上につながります。
指標の活用例② 顧客の移動方向や経路をもとに、カスタマージャーニーを改善する
来店客の動線を取得し、入口からの方向マップや各エリアの通行量、滞留状況を調べることで、店舗レイアウトの最適化を図ることができます。
例えば、人が動く方向を意識したディスプレイや、人通りが良く最も注目されやすい場所(視認率の高い場所)に売り出したい商品を陳列することなどが可能になり、購買の活性化につなげることが可能です。

店舗入口からの客の移動方向を抽出

店内のスタッフと来店客の動線分析
まとめ
2023年顧客の購買行動やトレンドを振り返り、2024年に向けて新たなビジネスモデルを探求し、戦略を練り続けることが大切です。
また、データ取得精度の高いAIセンサー等の店舗計測ツールを導入することで、店舗の運営効率を向上させ、販売活動を促進することができます。
変化する消費者ニーズに対応し、店舗データを上手く活用することが、2024年における小売業の成功へとつながる道しるべとなるでしょう。
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