AIカメラとは?
AIカメラとは、人工知能(AI)の技術を活用して映像を解析・処理するデバイスのことを指します。機械学習を基にしたアルゴリズムにより、人の顔や動き、物体の形状や高さなどを自動的に認識・判断する能力を持っています。
従来の監視カメラや防犯カメラが単に映像を撮影したり記録するのに対し、AIカメラは撮影した映像に対して高度な解析を行い、映像から人間の特定の行動パターンや顧客にかかわる情報を抽出します。
これにより、店舗や施設におけるマーケティング戦略の構築やサービス改善など、多岐にわたる分野で活用が可能となります。
また、ピープルカウンターをはじめ、店舗計測ツールは様々な種類がありますが、全体的にコンパクト化や低価格化が進んでいることから、スタートアップ企業や小規模な店舗でも導入しやすくなり、AIの進化とともにデータ活用の幅がさらに広がってきています。
美術館・博物館などの施設におけるAIカメラの導入
AIカメラは美術館や博物館などの公共施設においても、施設運営の効率化やサービス改善を促進する有効な手段として注目されています。
AIカメラで取得するデータは、主に入場者数や入館した客の行動、館内における滞在時間、展示物への関心度などになります。
美術館・博物館などの施設におけるAIカメラによるデータ計測と分析
ここでは、AIカメラで取得できる美術館・博物館の施設運営にかかわる指標とその活用例についてご紹介します。
■入場数カウント
従来、入場者数は人手で計測して集計していましたが、AIカメラで行う入場数カウントデータは、リアルタイムの集計と即時のダッシュボード上などでの可視化が可能になります。また、入場者数が最も多いピークタイムや当日の入場者数の推移予測などのデータもグラフで参照できます。
博物館や美術館などの施設では、来場者のカウントは施設運営において最も重要なデータの一つです。来場者の動向を可視化することで、施設のポテンシャルを測定したり、新しいサービスやイベントを企画する際の参考にすることができます。
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■施設前の通行量や入場率の測定
博物館や美術館でAIカメラを活用する目的に、施設外で行う計測があります。
その一つが施設前の通行量(歩行者数)の算出です。例えば、開館日の天候や時間帯が通行量にどのような影響を与えるかを把握することができます。
また、入場率(来店率・入店率)は、実際の施設の入場者数を通行者全体の数で割って算出します。
例えば、施設内で開催されるイベントや展示が、どれだけ顧客に刺さるものであるのかといった「訴求力」を上記の数値で判断したり、施設運営者が様々な企画を決定する際の判断材料として活用することができます。
関連記事:「店前通行量」と「入店率」の計測
■館外の販促物への顧客の反応(視認率)の測定
施設の外観やその周辺の情報は、訪問者の最初の触れ込みとなる重要な要素です。特に、デジタルサイネージなどの広告は施設への誘導役を果たし、訪問者の関心を引きつける役割を果たします。
AIカメラは、人々の動きや視線、顔の向きなどを捉えることができ、建物外や施設の入口前などに置かれた販促物の視認性の効果測定をすることもできます。
例えば、実際に販促物の前で立ち止まった通行人のうち何人が、看板を何回、どのくらいの時間見ていたか(視認率、視認回数、視認時間)具体的なデータを取得します。
AIカメラのデータをもとに、販促物の設置場所やデザイン、掲示する内容を最適化することで、PR活動が強化され、施設の魅力が向上し、集客アップにつながります。
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■入場者の滞在時間の測定
訪問者の滞在時間が重要な指標となる理由は二つあります。
一つ目は、一般的に入場者の滞在時間が長いほど、顧客満足度が高いと考えられ、展示物への関心や美術館の魅力が大きいと考えられるからです。顧客満足度が高ければ、再び来館する(リピーターになる)可能性が高くなります。
二つ目は、入場者の滞在時間が長いほど、その施設での消費額が増える可能性が高くなるということです。カフェやレストラン、お土産コーナーなどでの顧客の購買が促進されることで、施設の売上向上につながります。
関連記事:来店客の平均滞在時間を調べる
■混雑率の測定
美術館や博物館の館内環境や顧客体験を最適化する要素の一つに、混雑率の計測があります。
AIカメラは、館内全体あるいは個々の展示エリアやゾーンの混雑状況をリアルタイムで測定できるため、必要に応じて入場制限や各ブースの混雑緩和のための案内を行うことが可能になります(※)。
混雑率の高い時間帯や場所を特定し、館内のスタッフ配置を最適化することで、顧客が館内を快適に回遊できるようになり、効率的な運営につながります。
また、AIカメラで取得した混雑状況は、入口のサイネージに表示することも可能です。
館外で「現在」の混雑状況をあらかじめ提供することで、イベントの待ち時間や館内の込み具合がわかり、オフピーク時に来訪したい顧客にとっての最適な入館時間帯がわかり、顧客満足度の向上にもつながります。
※RetailNext(リテールネクスト)のAIセンサー「Aurora(オーロラ)」には、施設が事前に設定した最大収容人数と現在の館内人数を比較し、混雑状況が「高」になったタイミングで通知する機能が備わっており、利便性が高くおすすめです。
■顧客の属性分析
センサーの顔認識技術を利用することで、入場者の属性(デモグラフィック:性別や年代)を読み取ることができます。
また、館内に複数のAIカメラを設置することで、特定の展示コーナーが特定の性別や年齢層に集中して人気が高まっているといった情報を取得することも可能です。
顧客の属性を取得することで、顧客ニーズに沿った効果的なマーケティング戦略につながります。
関連記事:「来店客の属性」を調べる/男女比・年齢比
■入場者の動線分析
レイアウトの効果検証をする
ECショップがGoogleアナリティクスで顧客導線を解析するように、オフライン店舗では主にAIカメラが解析ツールとして使用されています。
AIカメラを用いることで、入場した顧客一人ひとりの経路を動線で追跡することが可能です。
エリアからエリアへ、フロアからフロアへの顧客の移動経路を調べ、館内のレイアウトやビジュアルの変更を行ったり、展示物やテーマの入れ替えを実施することで、カスタマージャーニーが最適化され、スムーズな顧客誘導ができます。

各フロアの顧客動線だけでなく、フロアからフロアに渡る館内全体の顧客移動を取得できるAIセンサーもございます。
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展示物への鑑賞率(関心度)を調べる
入館者の滞留状況から、各フロアの展示物(美術品・工芸品などのアートワーク)への興味関心度を詳細に分析することができます。
例えば、AIカメラを館内に複数設置し、顧客がどの作品コーナーの前に何度立ち寄ったか、どのくらいの時間鑑賞していたかを計測します。
各場所における滞在回数や滞在時間を調べることで、展示内容の改善や新たな展示企画の考案の際の材料とすることができます。
また、顧客属性とあわせて取得することで、「これらの作品は、特定の属性グループにおいて特に鑑賞頻度が高い傾向にある」といった詳細なインサイトを見つけ出すこともできます。
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AIカメラ技術による課題解決の具体的な方法とその事例
AIカメラを活用した来訪者の動向や顧客情報の把握は、施設の運営に大きく寄与します。
ここでは、AIカメラを用いて館内の分析を行い、施設運営の向上につなげたケーススタディをご紹介します。
美術館における来訪者数の傾向と属性の把握
ある美術館では、イベントブースで自然素材の糸や紐を使ってウォールアートを制作するイベントを開催することになりました。
イベントの魅力を調査するため、AIカメラを設置し、イベント前後の入館数や入店率、イベントコーナーの利用者数や利用者の属性を測定しました。
①入館人数とイベントブースの利用状況を計測する
時間帯や曜日ごとの入場数と通行量の計測に加え、イベントコーナーの滞留数と滞留時間の計測を行いました(※)。データから、イベントにより入店率が7%増加、またイベント利用者数は土曜日の午後2~4時台、日曜日の午前11時台と午後3時台の利用者数がピークであることがわかりました。
※家族やカップルでの来館が多い美術館であったため、今回、AIカメラのグループカウント機能を利用し、入館者はグループ単位でカウントしました。RetailNextのグルーピングカウントについて、詳しくはこちらをご覧ください。
②イベントブースに立ち寄る顧客の属性を計測する
イベントコーナーを利用する顧客の年代や性別などのデモグラフィック情報を取得しました。データから、主な客層は35~40歳前後の親と小・中学生以下の子供が中心に利用していることが明らかになりました。
結果
- 時間帯や曜日ごとのイベント利用者数の傾向を把握し、いつ、どれくらいの顧客が立ちより、どれくらいの時間を過ごしているのかを詳細に理解したことで、スタッフの配置を最適化することができました。
- 得られた属性情報をもとに、エントランスに設置するサイネージ広告の内容を見直し、ターゲット顧客に対してより訴求力のある内容へと、積極的に改善しました。
- イベントに立ち寄る人の属性データが得られたことで、より多くの利用者を獲得するための集客方法の検討や、イベントを企画するためのヒントを得ました。
施設運営における今後の課題とは?
美術館・博物館の運営には、来館者数の増加、新規顧客の獲得、効果的な作品展示など様々な課題があります。また、人の流れや密度を正確に把握し、施設利用者の満足度を高めるための適切な対策を講じる必要もあります。
こうした課題に対して、AIカメラなどの先進技術を活用することで、データに基づく意思決定ができるようになり、より効率的な運営や効果的な業務改善が可能になります。
一方で、デジタル化のメリットを享受するため、新技術の導入にかかるコストへの懸念や、分析スタッフの育成といった人材確保の課題も存在します。
さらに、美術館や博物館ならではの課題として、文化材の保護や、教育的役割を果たすための展示内容の充実なども存在しています。
低価格の店舗計測ツール、coumera(クーメラ)
店舗計測ツールの導入について考えた際に、費用面でハードルが高いと感じている企業様も多いのではないでしょうか?
店舗計測ツールのレンタルパッケージ、coumera(クーメラ)は、施設運営におけるデータ計測と分析を効率化するためのツールです。クーメラの最大の特長は、高性能でありながら低価格を実現していること。
初期設定や運用に必要な専門知識も最小限に抑えられるため、施設運営における人的リソースの負担を軽減します。導入コストを抑えながら、正確なデータ計測や分析が可能です。
またcoumeraは、施設の規模や来場者数に応じて最適なプランを選択できるので、小規模から大規模まで、幅広い施設に対応しています。
施設運営の効率化とコスト削減を実現。
coumeraは、1カ月から使える低価格の店舗計測ツールです。
設置工事は一切不要、使い方はいたって簡単。
電源とインターネット回線を用意し、店舗内の計測したい場所に必要な台数のAIカメラを設置するだけで、どこでも利用できます。
coumeraを見てみる
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まとめ
本稿では、博物館・美術館におけるAIカメラの活用方法と導入事例について解説しました。
AIカメラによる館内分析は、美術館や博物館などの施設運営において、来館者の満足度向上や業務効率化をもたらし、さらには新たな価値創造につながる可能性を秘めています。
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